「救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由」の感想

簡単な感想

面白かった! めっちゃ面白かったんだけど、残酷描写というか設定がきつすぎない? 2巻は買います。

簡単なあらすじ

自動修復機能をもった人型アンドロイドみたいな主人公が、コールドスリープを経て、侵略者であったアルデヒトという人型の生物が地球で暮らしている時代に目覚める。目覚めた時に出会った可愛いアルデヒトの女の子たちと、考古学を使って世界の謎に挑むお話。

 

 

 

 

ネタバレ感想

うん、面白かった! 面白かったんだけどさぁ! 残酷描写エグすぎない!?
……うん、まぁ順を追って感想言ってこう。

博士に救世主となることを託されてコールドスリープするプロローグ、まさかこのコールドスリープの裏にあんな恐ろしい実態が隠されているとは思わなかったよ……。

コールドスリープから目覚めて、ニナ達と出会ってからしばらくは思ったよりゆるふわで話が進むなぁと思ったんですよね。ニナのあまりに先を顧みない浪費癖はちょっとみてて不安だなぁとかそんなことくらいしか考えてなかった。
よくよく考えたらこのゆるふわ感があったがために、あの凄惨な世界設定との差でえぐみが強く感じたのかもしれないなぁ。

あ、そうそう。これでもか、と言わんばかりに、隙あらば女の子可愛い描写を入れてましたね。多少くどさすら感じたけど、でも可愛い描写のレパートリーの多さみたいなものはすごかったですね。

あと移動式の拠点機械である「レキホ」、これめちゃくちゃ便利機械でしたね。お前はよく頑張ったよ……。

で、目を見張るというか凄かったのが、考古学知識を存分に活かした発掘調査パート! あとがきを見たら元は全く知らず、取材で頑張ってここまで仕上げたというのだから脱帽ものだよなぁ。

発掘調査パート、結構知識欲を満たされるような話かつわかりやすい例えを使った説明をしていて、結構満足度高かったなぁ。多分、念入りに取材したんだろうな、と思わせるもので、作品全体の雰囲気や仕上がりにかなりプラスに貢献している要素だと思います。

で、発掘調査の最中、段々と不穏さがにじみ出てきましたね。トグマ先生、めちゃくちゃいい人じゃんって思ったけど、あぁなってしまったのは残念というかなんというか……。

あとシュバインバッハさんは、まぁなんというか絵に描いたような権力に取り憑かれたタイプの悪役でしたね。ニナ達を殺そうとすることも厭わなかった点で、ある意味因果応報といえるのかもしれないけど、それにしたって白骨死体になるまで溶かされなくてもよかったような気もするような……まぁでも因果応報の範疇ではあるかなぁ。

それと螺旋監獄だったっけか。あの辺りがこうゾワゾワするというか、怖くなってきましたね。残虐行為、描写は薄いといえど、それでも察せられる部分が酷すぎるんだよなぁ……!

それと一番うわぁって思ったのが、クチュールマタの酷使ですかね……。
人間側の憎悪もおぞましいものを感じたし……。
もうちょっとこう、マイルドになりませんでしたかね、と思う一方で、リュトが世界を憎む材料としてはかなり説得力があったので、上手いなぁ、とは思います。思いますけどー!

クチュールマタもクチュールマタで、死を救いと求め、最後の歓喜の声を挙げて死んでいったのが悲しすぎるんだよな……。

あとはピノも複雑な気持ちにさせる存在だったね……でも彼は彼なりにいろいろ考えて行動したんだよな……えらいぜ。

あと良かったところとして、考古学者としての挟持みたいなのを説得の材料にしたのが、とても説得力があって統一感もあってよかったですね。トグマ先生は、最後救われたと感じただけ良かったのかなぁ……。あの人も悲しい存在……。

あとアイルがボコられたところはひええーってなりましたね。女の子が暴力に晒されるのが苦手……。

最後はちゃんと救世主になって、ハッピーエンドで終わってよかったけど、結構この作品、私の心に爪痕を残したというか、いろいろ感傷的になってしまう部分が多い……でも、こういう作品好きなんだよな!

はい、というわけで以上で感想は終わりです。とてもおもしろかったです!

 

 

感想

Posted by 冥王星